患者さんに寄り添う周麻酔期看護の役割

周麻酔期看護とは、手術を受ける患者さんが手術前から手術後まで、安心して過ごせるようにサポートする看護のことを指します。この期間には、患者さんが感じる不安や恐怖を和らげることが特に大切です。周麻酔期看護師は、医療の専門知識を活かしながら、患者さんに寄り添い、思いやりを持ってケアを提供します。

手術を控えた患者さんは、さまざまな不安を抱えていることが多いです。周麻酔期看護師は、患者さんの気持ちに寄り添い、丁寧に話を聞くことから始めます。分からないことや心配なことがあれば、それを無視せずに、分かりやすく説明を行うことが重要です。こうすることで、患者さんは少しずつ安心感を持つことができ、手術に対する不安も軽減されます。

また、手術直前の準備や手術後のケアも周麻酔期看護師の重要な役割です。手術前には、患者さんがリラックスできるようにサポートし、必要な情報を提供します。手術後は、患者さんの状態を注意深く観察し、痛みや不調があれば迅速に対応します。このようなケアを通じて、患者さんが少しでも快適に回復できるようになるのです。

さらに、周麻酔期看護師は医師や他の医療スタッフと連携し、患者さん一人ひとりに最も適したケアを考え、実行します。コミュニケーションを大切にしながら、患者さんが安心して過ごせる環境を整えることは、周麻酔期看護師の大きな使命です。

患者さんに寄り添った周麻酔期看護師の仕事は、患者さんの体だけでなく、心のサポートも含まれています。患者さんとの信頼関係を築き、心配や不安を共有することで、手術という大きな出来事を乗り越える支えとなるのです。思いやりを持った看護が、患者さんの回復を助け、安心感を提供する大切な役割を果たしています。

周麻酔期看護師になるまでの道のり

周麻酔期看護師として勤務するには、安心・安全な麻酔を患者に提供するためのよりクオリティの高い、知識と技術を学ばなければなりません。そのため、周麻酔期看護師の養成課程としては、大学院修士課程において2年間かけて行われます。

教育では、麻酔科の医師が治療時に何を考えながら対応しているのかを学び、周麻酔期看護師としての自身の役割を学習します。そのため、臨床解剖学生理学、病態理学、臨床薬理学を軸とした教育カリキュラムが組まれています。

実習は麻酔科外来で行われ、手術症例など、麻酔科医の指導医師のもとで学びます。また、救急蘇生及び、臨床麻酔の演習もあります。演習は、臨床研修機器である高機能生体シミュレーターを用いて行われます。

周麻酔期看護学では、2年の教育課程の中で、麻酔に関する幅広い知識を習得します。もちろん、麻酔の看護師としてスペシャリストになるための学習中も、看護師として最新知識の勉強に励む必要があるため、学習のセルフマネジメントが重要になってきます。

なお、周麻酔期看護師の養成課程を有する大学院は、聖路加国際大学が開設した後に、現在では全国で6か所に展開しています。国立では、信州大学大学院や滋賀医科大学、公立では横浜市立大学と奈良県立医科大学があります。また、私立は聖路加国際大学や国際医療福祉大学です。

周麻酔期看護師は、日本国内で認知度が少なく、有資格者も少ない職種といわれています。そのため、麻酔の専門知識を持つ看護師は、各所で重宝されるといっても過言ではないでしょう。麻酔のケアをもっと知りたい方は、ぜひ周麻酔期看護師の職種の概要をチェックしてみてください。